常陸太田市生涯学習誌「フォンズ」

黒磯バッケの想い出

黒磯バッケの想い出

市境から349を里美方面に車で二十分程北上し、「春友藤の屋」バス停前から春友彫刻の森方面に左折、里川を渡ると山裾の細い旧棚倉街道に突き当たる。トイレや駐車場が整備されている春友彫刻の森運動公園を左に見ながら北上続けると鎌倉坂に至り、間もなく左手に「黒磯バッケ」の案内板が現れる。ここから登山道となり杉林の中を十五分程進むと、尾根道の急登となり十分ほどで「ビューポイント」となる。
想えば小学生時代に登ったのが最後、その後上京して社会人となり、十六年前、定年を期に帰郷し五十年ぶりに登った。登山道は荒れ果て尾根筋の眺望も無く、かつての面影はなかった。
その年の秋口から弁当持参で登山ルートの開拓を始めた。急こう配のルートにはトラロープを張り、岩壁にはザイルを張って雑木を伐採し「ビューポイント」を作った。汗を拭き一服すると、彼方から今は閉校となった河内小学校の運動会の行進曲が聞こえた。翌年からは「河内の文化遺産を守る会」に加入し、会員と共に毎年数回、登山道の草刈や整備を行い、現在は登山客も着実に増えている。
ビューポイントから眼下には二十軒程の「黒磯集落」、里川を挟んで旧棚倉街道「町屋の宿」、彼方には高鈴山(623)がそびえ、素晴らしい眺望が楽しめる。尾根筋を北に向かい、「町屋宿」の小さな案内板が見えたら、これを右手に下ると九十九折となる。そのまま間もなく「町屋滝」を眺め、「黒磯集落」の北端に下山する。この先にはNHK朝ドラ「ひよっこ」で、奥茨城村役場支所として放送された「旧町屋変電所」があり、敷地内に別棟でトイレが完備されている。
幼いころからの思いを整備へと突き動かしてくれた景色。帰郷して家から毎日眺めるバッケは、かけがえなく愛しいもので私の一生の宝です。

河内の文化遺産を守る会
檜山 浩

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