佐竹小学校

佐竹小学校に残る名物校長の温もり

佐竹小学校の瀬尾校長先生が、「すごいものがある」と言って見せてくれたのは、校長室の机でした。その机にまつわる物語を、佐竹小学校の歴史を調べている山田健雄さんからうかがうことができました。

昭和5年から90年もの間使われてきた校長先生の机は、佐竹尋常高等小学校の名物校長として、戦前の教育界をけん引してきた寺門清三郎先生の薫陶くんとうを受けた6名の先生方が在職記念品として贈呈したもの。机の腰板にそれぞれのお名前が刻まれていることに加え、偉大な教育者にあやかろうと、今日まで使い続けられてきたものと考えられます。

この名物校長先生にとって、最も悲い出来事がありました。それは、太平洋戦争の物資不足で、教え子から贈呈された校長先生の胸像までもが、昭和18年7月に供出させられることになったのです。そのため、寺門校長先生の身内10人と卒業生や教師11人でお別れの記念写真を残しています。多くの教え子が寄贈してくれた胸像が、戦争の兵器や弾薬などに加工され人の命を奪うことに虚しさを感じたに相違ありません。

山田健雄さん

佐竹小学校は、令和4年4月1日から施設分離型の小中一貫教育校、「峰山小学校」として再スタートしますが、これまで培ってきた先生と児童との心の交流を基礎に、過去の有形無形の歴史も引き継がれていきます。

[取材] 萩谷浩司

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