2015年から約2年半にわたる「ぐんど児童クラブ」の子どもたちとの関わりは、今の私の人生に影響を与えている。現在、私は静岡県浜松市にあるNPO法人クリエイティブサポートレッツというアートNPOが運営する障害者福祉施設で働いている。日々、重度の知的障害のある人たちのやるとなすことに、驚きと戸惑いを感じつつも楽しく仕事をしている(いや、遊んでいる)。
郡戸の子どもたちとは、夏休みなどの長期休みを利用して沢山のワークショップを行ってきた。また、児童クラブの隣の教室をアトリエとして週2回程開放し、何ヶ月もかけて一つのテーマに取り組むこともあった。1〜6年生までが、「これやりたい!」「これ好き!」と出来ることや得意なことを差し出し合いながら、遊びを創っていく姿を見守るのはとても面白かった。子どもたちの明るいユーモアから生まれる表現に驚き、笑いながら一緒に過ごした日々が、今の私に繋がっている。
任期終了後も、時折、児童クラブを訪問していたが、新型コロナウィルスの影響で、その機会を失ってしまった。そんな中、一昨年末に志望する高校に受かったと男の子から電話をもらった時は、とても嬉しかった。そして昨年末には、2人の男の子と久しぶりに会うことが叶った。中学生となり、成長した姿にびっくりしたが、その話し方や表情からは、どこか当時の面影を感じ、とても懐かしかった。2人の話を聞きながら、これからもっと沢山の悩みや選択を繰り返して成長していくのだなと、ぼんやりと想像を膨らませ、羨ましくなった。まだ始まったばかりのみんなの人生の中で、あの時の体験が、何か生きるヒントとして役に立つことがあれば嬉しいなと願っています。
常陸太田アーティスト・イン・レジデンス(2015〜17年)
渡部智穂さん