ヴァイオリニスト

牛草うしぐさはるさん

—— 常陸太田市の思い出
6歳の時に東海村から常陸太田市に家族で引っ越し、佐竹小学校、峰山中学校に通いました。
引っ越した当初人見知りが激しく、学校に行きたくないと両親や先生方を困らせた事もよくありました。その時担任の先生や二つ上の姉の担任の先生まで気にかけていただき、泣いている私が教室に入りやすいようにと試行錯誤してくださった事に今でも感謝しています。

中学時代はヴァイオリンに熱中し始めた時期だったので練習時間を確保することが大切でした。峰山中学校の先生方はとても良く理解してくださっていて、例えば必須だった部活動も無理のないようにと配慮してくださりました。そうした小中学校の先生方のご理解が無ければ今のようにヴァイオリニストとして活動する事は難しかったと思います。

高校から東京での寮生活になりましたが、高校時代はほぼ毎週末常陸太田の実家に帰っていました。東京からの高速バスに乗り窓の外を眺め帰省するとだんだん見なれた常陸太田の景色が見えてきてそれだけでホッとした事を覚えています。

—— ヴァイオリンの練習・演奏で一番大切にしていることは何でしょうか?
練習している楽曲や作曲家の背景を研究することによってより深い理解が生まれ新しい発見や勉強ができるので必ず同じ作曲家の違う楽曲を聞いてみたり、他の演奏者の方がどのように演奏されているかコンサートに出向いたりします。また天気や湿度で楽器の音色が変わるので毎日楽器と対話するように練習をしています。子どもを出産した後はなかなか練習時間と気力を確保する事が難しいのですがそれでも毎日続ける事を心掛けています。

演奏の際は音楽を楽しむ気持ちを大切にしています。それまでの練習では自分のできていない部分を厳しい気持ちを持って何度も練習しますが、演奏の際は真逆で自由に泳ぐような気持ちで演奏しています。お客様と一緒に音楽の波に乗って同じ空間を共感できる瞬間を味わえた時は本当に素晴らしい感覚です。演奏後の皆さまの顔を見ると同じような気持ちでいてくださっているような気もして嬉しくなります。

—— ご帰国なさる際に地元での演奏会をいつも計画してくださっていますが、それはどのような思いでご計画なさっているのでしょうか?
常陸太田での演奏会は特にお客様と気持ちが通じ合える機会が多いような気がします。小中学校でお世話になった先生方とは今でも交流があり、演奏会の後にお話しできる機会も多いのですが感想や励ましのお声を頂けると、またここで演奏したいと思う気持ちが強くなります。常陸太田には梅津会館やパルティホールなど、素敵な場所や伝統的な建造物がたくさんあります。演奏が実現していない歴史的な建築物などまだまだ興味深い場所がたくさんあるので今後演奏してみたいです。

—— 地元の子どもたちに向けてのメッセージ
たくさんの物を見て「今これがしたい!楽しい!」という自分だけの感覚を大切にして欲しいです。そして思い切り楽しんで欲しいです。私自身、幼少期に自分の好きなものが見つかった事をすごく幸せに感じています。プロになるという事は大変な道のりですが何か自分の大好きな事がひとつでもあると人生が豊かにもっと幸せになるのかな、と私は思います。

常陸太田市出身。5歳よりヴァイオリンを始め、現在までに平林朋子、磯野順子、宗倫匡の各氏に師事。ビオラをJamesSleigh、室内楽をMartinOutramの各師に師事。桐朋女子校等学校音楽科卒業、同大学入学後2007年に渡英、ロームミュージックファンデーションより奨学金を得て英国王立音楽院学士課程、修士課程を最高位で卒業。現在はロンドン在住、日本とイギリスにて演奏活動を行う。2014年茨城県新人演奏会、新人賞聴衆賞受賞、2015年茨城の名手名歌手たち出演。仙台フィルハーモニー管弦楽団、英国オーピントン交響楽団、英国ノースダウンズ管弦楽団と共演。これまでに王室プリンス・エドワード王子の前で演奏するなど演奏活動に力を入れている。

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