漆芸家 菊池麦彦さんは、母方のご実家が常陸太田市水府地区にあり、2014年に「麦工房」を構え、常陸太田での活動が多くなりご縁が生まれました。
子どものころから工作が好きで、自然とものをつくる道を目指していた菊池さんは、美術科・工芸コースのある東北芸術工科大学で漆芸を学びました。卒業後美術科の予備校で講師を務めつつ作家として活動をはじめ現在に至ります。
菊池さんの作品を見ていると漆器という概念がおおきく広がっていく風の流れを感じます。美しいが高価で、実用の道具からは離れつつある漆器が、釣りのルアーやキャンプの道具として、また不思議な形状のスピーカーとしてその特性を活かしつつ新しい輝きを見せているからでしょうか。アウトドアの道具と漆器、一見何のつながりもないような両者は菊池さん自身の「好きなもの」でつながっています。釣りが大好き、必然的にキャンプも大好きな菊池さんは、アウトドアで使う道具に自身の作品を取り入れ、生み出される道具のサイズ感や使い勝手がベストマッチとしてアウトドアの世界でも評判を呼んでいます。
自然素材の塗料としての漆の魅力・可能性に惹かれているとご自身が語るように、作品の色合いもいわゆる漆器のイメージを心地よく覆してくれるのです。伝統工芸の伝統という意味は、時代に沿って新しく作り変えられてきたことの時の流れを意味するのだと、伝統の先端にいる菊池さんの作品を見ていると感じます。
1985年埼玉県さいたま市生まれ。2010年東北芸術工科大学美術科工芸コース漆芸専攻卒業。茨城県常陸太田市に陶・漆工芸麦工房を新設。2011年常陸太田市に麦工房漆林を造成。2014年さいたま市岩槻区に漆アトリエを新設。
受賞/卒業制作lurebag優秀賞。日本漆工協会奨学賞。50回日本クラフト展入選。天賞堂時計文字盤コンテスト入選。
展示会/自由が丘古桑庵二人展。浦和楽風二人展。常陸太田麦工房個展毎年。新宿伊勢丹壱木呂の会展。常陸太田梅津会館壱木呂の会展。水戸工芸ギャラリー桃花堂二人展。金沢しいのき迎賓館天賞堂時計文字盤展。青梅釣具店甲州屋和の釣り道具展。artspacearmorgenrot。銀座ギャラリーおかりや四人展。
奥久慈漆組合組合員。NPO法人壱木呂の会理事。